第121章 何を言っても無駄だ

「七海。俺はずっと、自分が善人じゃないって認めてる。正しさで縛って何が悪い? そのやり方でお前を無理やり風間家に縛りつけて、じいさんのためになるなら――それでいい。全部どうでもいい。俺は気にしない。お前が俺をどう思おうが、構わない」

風間悠希の口調は、どこまでも落ち着いていた。さっきまでの甘い空気など、ひと言で霧散するほどに。

「今まで言わなかったのは、お前が変な先入観を持つのが嫌だったからだ。でも七海、お前を出してやるつもりはない。俺がここにいる限り、お前は風間家の嫁だ。分かったか」

その頑なさに、七海は眉をきつく寄せた。

胸の奥に、理由もなく火がつく。彼女は壁に手をついて立ち上が...

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