第122章 あの時の彼女

「覚えておいて。今日から、風間悠希とは仕事以外で一切やり取りしない。分かった?」

七海の声はやけに真剣で、ほんのわずか――氷みたいな冷たさを含んでいた。

長い付き合いだ。石川翼には分かる。彼女はいま、機嫌が悪い。

翼は頬杖をつき、パソコンの壁紙をぼんやり眺めた。

初めて自分で貯めた金で草原へ行き、撮った写真。

その金は、七海が与えてくれた「機会」がなければ生まれなかった。

いまでも忘れられない。

十八のとき、初めて七海に会った日のことを。

あの頃の彼女は十六歳だったのに、目だけは大人びていて――この世界の不条理を、最初から全部見抜いているみたいだった。

「私と組みなさい。あ...

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