第124章

水原母は目を閉じた。頭の奥がぶうん、と鳴っている。

ずっと昔、弟が遠回しに聞いてきたことがある。

「水原家ってあんなにでかいのに、跡継ぎがいなかったらどうすんの?」

あのとき自分は笑って返した。七海がいれば十分だ、と。

けれど七海がいなくなり、水原美月が水原家へ連れ戻されたあと。弟はわざわざ電話をかけてきた。抑えきれない興奮が声に滲んでいて、当時は「姉のために喜んでくれている」と思った。

今になって分かる。あれは――企みが思い通りに運んだ者の、得意げな笑いだったのだ。

水原母は目を開けた。声は掠れて、ほとんど音にならない。

「……本当に風間悠希を助けた子は、見つかるの?」

下...

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