第14章 彼女が風間家で唯一気にかけること

七海がいま、風間悠希や風間家に対して何か未練があるとすれば。

それはきっと、風間爺さんだけだった。

当時――身代わりの嫁として風間家に入った七海に、風間英二も風間綾子も少なからず思うところがあった。

けれど七海がこの数年、どう振る舞ってきたかは二人とも見ている。好きとまでは言えなくても、嫌ってはいない。少なくとも表向きは、穏便に回っていた。

ただ一人、風間爺さんだけは違った。

七海のことが本当に好きで、この家の中でいちばん彼女に優しい人だった。

風間爺さんはもともと体が弱い。去年は高血圧が原因で脳出血を起こし、なんとか一命を取り留めたものの、その後は心不全まで患った。

風間家に...

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