第16章 彼は少し苛立っているが、原因は見つからなかった

「七海、ここで俺を嵌めようとするな。お前――」

風間悠希が言い終える前に、七海が片手を上げて遮った。

「風間さん、そういうどうでもいい話、もうやめません? あなたは疲れてないのかもしれないけど、こっちはうんざりなんです。時間の無駄。さっさと行って」

露骨な苛立ちに、風間悠希はかえって笑ってしまったような顔になる。

「いいさ。あとで後悔しても知らないぞ」

その言葉に、七海は遠慮なく白い目をくれてやる。

「後悔するほうがバカ」

二人は、どこか歪んだ空気をまとったままエレベーターへ向かった。

病院は人の出入りが絶えず、エレベーターも例外じゃない。

風間悠希は乗り込むなり左奥の隅へ...

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