第21章 だから彼女はいったい何を間違えたのか

運転手が降りるより早く、牧野龍哉は気の利いた手つきで後部座席のドアを開けた。

本当は七海と小林玲奈、二人を後ろに座らせるつもりだったのだろう。だが小林玲奈は空気を読むのが抜群にうまかった。助手席のドアをさっと開け、そのまま迷いなく乗り込む。後部座席のスペースを、七海と牧野龍哉に譲ったのだ。

その光景を見た瞬間、ドア脇に立っていた風間悠希は、わずかに眉をひそめた。

顔は闇に溶けていて、誰にも表情は見えない。けれど、隣にいる水原美月だけは分かった。彼の全身から立ち上がる、刃物みたいな気配を。

——怒っている。

それは、聞かなくても分かるほどだった。

美月が戻ってからずっと、心のどこか...

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