第29章 どうしても彼女を信じようとしない理由

「安田恵の弟子、ですって?」

七海の足が、ふいに止まった。

――いつ、私が弟子なんて取ったのよ。

けれど目の前の女は、揺るぎない口調で言い切る。

水原美月が何か言いかけた、そのとき。

視界の端に、ドア口に立つ七海の姿が入った瞬間、彼女の注意がそちらへすべて持っていかれた。

「姉ちゃん? どうして来たの?」

その一言で、風間悠希と、先ほど「安田恵の弟子」を名乗った女の視線も一斉に向く。

七海は悠希にも美月にも目をやらず、まっすぐ見知らぬ女を見据えた。

「あなた、安田恵の弟子だって言ったわね。本人は、それを知ってるの?」

女は一瞬だけ面食らい、それから薄く嘲るように七海を見た...

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