第31章 疲れすぎて、だから愛せなくなった

七海は苦く笑った。

「もう、どうでもいいの」

昔の自分なら、恨んだだろう。風間悠希が、どうして一度でいいからこちらを見てくれないのか――。

けれど今は、もう手放していた。

好きかどうかなんて、結局はたいしたことじゃない。人生なんて、せいぜい数十年。どうして自分がもっと笑える生き方を選んじゃいけないんだろう。愛してくれない相手に、いつまでも縛られて悩むなんて。

疲れるだけ。

だから、もう愛さないと決めた。

その頃、松本海斗は風間爺さんへの点滴を終えると、振り返って七海を見た。眉間に深い皺を寄せたまま。

「……できる限りのことはしました。ですが大旦那様のお身体は、日に日に悪くなっ...

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