第34章 風間のお爺さんに健康でいてほしい

山下が薬を届けに来たとき、ちょうど七海が大旦那様の世話をしているところだった。

身体を拭き、揉みほぐし、手際よく按摩する。

その慣れた所作を見ているうちに、山下の脳裏には、さっき松本海斗が口にした言葉がよみがえった。

七海は、道ばたで風に揺れるような花じゃない。

一見すると地味で、目を凝らさなければ通り過ぎてしまうのに――実は、ただ一輪しかない花。

そして今、その花の中には、秘密が多すぎる。

山下はひとつひとつを胸に刻みながら訊ねた。

「若奥様、ほかにご注意はございますか」

七海は少し考え、首を横に振る。

「まずは十日、飲ませてみてください。汗をかく症状が出ても正常なので、...

ログインして続きを読む