第45章 牧野龍哉への恩返し

牧野龍哉の言葉には含みがあった。狙いは明らかに、水原美月だ。

七海は思わず笑ってしまう。眉も目尻もふわりと下がり、夜空に高く掛かる三日月みたいに、眩しいほど明るかった。

そのまま二人は連れ立って外へ出た。並んで歩く背中が、後ろにいた風間悠希の目に映る。彼の足は、ほとんど反射みたいに前へ出た。

たった一歩。

だが水原美月が、彼の腕にしがみつく。離す気なんて最初からない。瞳に宿っているのは、背水の賭けだ。

「悠希……さっき、誰か写真撮ってたみたい」

囁くように小さい声。けれどそれは、風間悠希に突きつける合図でもあった。ここで残って、この場を片づけなさい——そう言っている。

実際、風...

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