第54章 最初に目に入ったのは彼女だった

「怒らないでくださいよ。もう八十にもなるのに、どうしてまだ子どもみたいなんですか? 私はまだ若い。どう転んでも、いくらでもやり直せる。……それに、おじいさまにも、願いが叶えばいいって思ってますよ。でも、言い換えるなら――」

七海は言葉に含みを持たせ、意味ありげに笑った。

「たとえ全部がおじいさまの思い通りになったとして……水原家の栄光を、あと何年その目で見ていられるんです?」

呪うつもりなんてない。

けれど、ある意味では――ただの事実を口にしただけだ。

聞くかどうか、気に入るかどうかは、水原爺さん次第。

水原爺さんは胸を大きく上下させ、今にも噴き上がりそうな顔をした。七海は間髪入...

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