第60章 彼は彼女の代わりに話している

彼に選択肢はなかった。

こんな割に合わない取引、彼がするはずがない。

三人で階下へ降りたとき、さっきまで賑やかだった誕生日パーティーの会場は、すでに人影もなく、がらんとしていた。

水原爺さんがソファに腰を下ろしている。顔色は冴えない。

物音に気づいたのか、真っ先に七海へ視線を上げ、眉間にしわを寄せる。だが、七海の背後に風間悠希がいるのを認めた途端、その表情がわずかに緩んだ。

水原母が勢いよく太ももを叩いて立ち上がり、七海へ詰め寄る。

「七海、うちが何をしたっていうのよ! あんたが戻ってきてから、ろくなことがないじゃない!」

その手の言葉には、七海はとっくに慣れていた。

「私に...

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