第64章 ドローンの達人

夏川直希は、風間悠希のその葛藤が痛いほど分かっていた。けれど、どう言葉を重ねても、今の彼を楽にできる気がしない。

結局、胸の内に渦巻く複雑な思いは、最後にはただ一つの溜め息にしかならなかった。

「……もういい」

風間悠希が我に返り、低い声で言う。

「時間も遅い。お前も帰って休め」

夏川直希は黙って頷き、踵を返した。

扉が閉まる音が消えたあと、オフィスに残ったのは風間悠希ひとり。

空気の流れまで鈍ったようで、秒針の刻む音がやけに耳に刺さる。

その静寂を、机の上のスマホがぶるぶると震えて破った。

風間悠希は端末を取り上げ、通話を繋ぐと同時にスピーカーへ切り替え、机の端へ置く。

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