第75章 かつてのあの過去

石川佳純と髙橋誠治は結婚して十年近くになるのに、子どもができなかった。病院で検査を受けた結果、原因は髙橋誠治――彼に生殖能力がないことだと判明する。

その後、誰の入れ知恵かは分からないが、石川佳純は「養子を迎えたらどうか」と勧められた。ところが養子縁組には条件が多く、彼女はほとんど満たせない。

そんな折、石川佳純の弟が彼女をそそのかした。

養子が無理なら、さらってくればいい――と。

しかも「条件のいい子」「見た目のいい子」を選べ、とまで言う。表向きは髙橋誠治と石川佳純の“血筋”を残すため。だが本音は別にあった。その子を利用して、自分の息子の嫁まで手に入れるつもりだったのだ。

石川佳...

ログインして続きを読む