第9章 抗えない本能

風間悠希が相手の姿をはっきり捉えるより先に、七海は彼へ飛びついていた。

彼の体温はひどく冷たい。だからこそ、内側から燻る熱に煽られた七海の本能は、もっと近くへ、もっと――と際限なく求めてしまう。

風間悠希は眉を寄せ、七海を乱暴に押し退けた。

「七海……何をしてる」

突き飛ばされた七海は書机に背をぶつけ、腰が机の角に当たった。ずきり、と鈍い痛みが走り、思わず息を呑む。

深く息を吸った、その瞬間。薬が再び回り、理性を容赦なくかき消した。

「黙って!」

吐き捨てると同時に、七海は彼のシャツへ手を伸ばし、引き裂くように掴む。

風間悠希が引き剥がそうとした、そのとき。彼女の額に浮いた細...

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