第四章

 慈善晩餐会の煌びやかさが、目に突き刺さるように痛い。

 本当は、来たくなかった。

 だが、佐藤弁護士は言った。和沢グループの株式譲渡には時間がかかるため、今は誰にも隙を見せてはならない、と。何より、私は毎年ここに来ているのだから。

 覚悟はしていたつもりだった。けれど、父が紀ノ川蘭を伴って会場に入ってくるのを見た瞬間、シャンパングラスを握る指先は白くなるほど力がこもった。

 紀ノ川蘭はオートクチュールのチャイナドレスを纏い、化粧も完璧で、二十年もの間、日陰の愛人だった過去など微塵も感じさせない。

 一方、父の和沢偉は顔を紅潮させ、周囲の客に紹介して回っている。

「紹介しよう。私...

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