第八章

 小澤司は、私の財産を貪った者たちを決して許しはしなかった。

 閉廷を告げる木槌の音が響き渡ると同時に、和沢偉と紀ノ川蘭の悲鳴が法廷の空気を切り裂く。

 佐藤弁護士は眼鏡の位置を直すと、判決文を私の前に差し出した。

「和沢お嬢さん、証拠は明白です。和沢偉の公金横領、紀ノ川蘭の詐欺およびマネーロンダリング容疑……お二人の名義にある全資産は凍結され、和沢グループへの返還が強制執行されます。例の別荘についても、明日には差し押さえとなります」

 執行官に引きずられていく二人を見やる。かつての威厳など見る影もない父は、「わしは会長だぞ!」と狂ったように喚き散らしている。

 一方の紀ノ川蘭は、...

ログインして続きを読む