第116章 彼女が持つ資質

木村教授は彼女を見つめ、やるせないように息を吐いた。

これから口にする言葉が、温井有紗に届くとは限らない。

――それでも、言わなければならない。

表情を引き締め、ゆっくりと言い聞かせるように告げる。

「君からは、医者としての仁が感じられない。それどころか、患者に対して負うべき責任感もない。命に対する畏れも、敬意も――まるでない」

「医学は遊びじゃない。まして他人と張り合うための道具でもない。そんな基本すら理解していない人間が、どうして医者を名乗れる」

温井有紗の目に、みるみる涙が溜まった。

彼女は入口のほうを指さし、甲高い声で叫ぶ。

「私に資格がないって言うなら……清水若菜に...

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