第19章 わざと彼女を不快にさせる

清水若菜は、きゅっと眉を寄せた。

もう深夜だ。住人のほとんどは寝静まっている。このまま名取賢次にここで酒癖の悪さを爆発させられたら、近所迷惑になるだけでは済まない。余計な噂まで立つ。

騒ぎを大きくしたくはなかった。こんな時間に、これ以上彼と揉めるのもごめんだった。

しばらく黙り込んだあと、彼女はとうとう折れたように口を開く。冷えきった声だった。

「入りなさい。お茶を飲んだら帰って」

そう言ってドアを開け、自分が先に中へ入る。

ぱっと灯りがつく。狭いながらもきちんと片づいた部屋には、ささやかでも確かな暮らしの匂いが満ちていた。

清水若菜は彼を振り返りもせず、そのままキッチンへ向か...

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