第55章 お前は俺の毒薬

清水由香は振り返って清水若菜を見た。目の縁はうっすら赤い。けれど声だけは、ひどくきっぱりしていた。

「おばあさまのことは、私がちゃんとするわ。若菜、いつまでも悲しみに沈んでいたらだめ。早く戻って、その腕で人を助けなさい。それがおばあさまへの、いちばんの孝行よ」

そう言うと、傍らの名取賢次へそっと目配せする。

名取賢次はすぐに察し、歩み寄って清水若菜の肩を抱き、車のほうへ促した。

清水若菜はまだ何か言おうとしたが、名取賢次に半ばなだめられ、半ば押されるようにして車へ乗せられてしまう。

窓越しに見えたのは、実家の門先に立つ清水由香の姿だった。手を振りながら、ほっとしたように笑っている。...

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