第58章 同じ人物ではないだろう

名取賢次は、彼女の怒りと悔しさが入り混じった顔を見て、思わず頬がゆるんだ。嫉妬している若菜は、どうしようもなく可愛い。

彼は手を伸ばし、彼女の頬をつまむ。

「安心しろ。今回の提携の話が片付いたら、温井家と名取グループの窓口は全部、別の責任者に回す。俺が彼女と二人で会うことは、もうない」

清水若菜の気持ちをなだめたうえで、名取賢次は声を落として尋ねる。

「このあと、どうする? 買い物の続きか、それとも帰るか。買い物なら俺も付き合う」

若菜は小さく首を振った。

「いい。私、帰る」

「なら、俺も――」名取賢次が手を取ろうとした、その瞬間。

若菜は一歩引いて、彼の胸を軽く押し返す。声...

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