第70章 不意の来客

温井有紗が普段からやってきたことを思い返し、名取賢次の目つきがふっと陰った。――答えは、もう出ている。

運転席にもたれ、指先でスマホの画面を叩く。

「了解」

送信すると端末をポケットへ戻し、賢次は大股で別荘へ向かった。

リビングに足を踏み入れた瞬間、賢次は立ち尽くす。

テレビがつけっぱなしだった。

ソファには清水若菜が、首をこてんと傾けたまま薄いブランケットを掛けて眠っている。

――一晩じゅう、待っていたんだ。

胸の奥が、じわりとほどけた。春の水みたいに、あっという間に。

賢次は音を殺してソファの前にしゃがみ、彼女の額に、羽が触れるほど軽いキスを落とす。

若菜のまつげが小...

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