第72章 嘘が暴かれる

名取浩史はわずかに息を呑み、訝しげに眉を寄せた。

だが足音が聞こえた瞬間、彼もほかの面々と同じように、反射的にレストランの入口へ視線を向ける。

入ってきたのは名取賢次の秘書だった。足早に近づいてくるその背後には、灰色の作業服を着た中年男がついている。

髪は乱れ、顔色は蝋のように黄ばんでいる。背中を丸め、視線は泳ぎっぱなしで、誰とも目を合わせようとしない。

温井有紗はその男を見た瞬間、雷に打たれたように硬直した。視界がぐらりと暗転する。

彼女は勢いよく顔を向け――名取賢次の、底の見えない冷たい眼差しにぶつかった。心臓が止まりかける。

――知ってる。

――本当に、全部。

「……今...

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