第76章 君が恋しい

彼の拳が振り下ろされる、その前だった。

清水若菜の前に、背の高い影が二つ、すっと割り込む。

名取賢次が手配していたボディガード――その二人だ。

肩幅が広く、体格も桁違い。若菜の前に立っただけで、まるで壁が二枚並んだみたいに、彼女を隙間なく覆い隠した。

男の腕が、宙でぴたりと固まる。

目の前の大男は、どちらも身長185cmは軽く超えている。

さっきまで燃えていた怒りが、みるみる恐怖に塗り替えられていった。

しばらくして、喉仏がごくりと上下する。

男は震える手で拳をほどき、ゆっくりと下ろした。……その場から、一歩も動けないまま。

清水若菜はもう相手にしない。

腕の中で守ってい...

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