第84章 次はないと警告する

「……欲しい」

名取賢次は彼女の頬にキスを落とした。

「でも、それ以上に、お前が無事でいてくれるほうがいい。今のお前に必要なのは、ちゃんと休むことだ」

清水若菜の胸がふっとほどけ、素直に横になる。

名取賢次も隣へ潜り込み、昨夜と同じように彼女を丸ごと腕の中へ閉じ込めた。もう何も言わない。

清水若菜は窓から差し込む月明かりを頼りに、彼の顔をじっと見つめた。

目の下には濃い隈。唇は少しひび割れていて、全身が限界まで疲れ切っているのがわかる。

J市からこの山奥の村まで、片道だけでも何時間もかかる。二日続けて往復し、昼間は会社の仕事まで回しているのだ。鉄の身体でも保つはずがない。

「...

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