第85章 見つからないよね?

夫の怒鳴り声を浴びせられても、温井水月はただ訳がわからなかった。

「あなた、いったい何の話? 私、ひと言も理解できないんだけど?」

温井正明は怒りで顔を歪め、噛みつくように問い詰める。

「深山村の件だ。あれはお前が人を使ってやらせたのか? 今すぐ本当のことを言え!」

その言葉に、水月は反射的にスマホを握り締めた。

瞳の奥を一瞬、焦りが走る。だがすぐに押し殺し、声を硬くする。

「何を言ってるの。深山村? そんな場所、聞いたこともない」

「まだシラを切る気か!」

正明は今にも卒倒しそうな勢いで怒鳴った。

「名取賢次がさっき俺のオフィスのドアを蹴り破ってきた。部下の前で堂々と脅さ...

ログインして続きを読む