第86章 金と人、どちらも手に入れる

山口達夫は眉をひょいと上げ、いかにも余裕ぶった顔で言った。

「当たり前だろ。俺が使った連中は何段も噛ませてある。仮に辿られても、最後の層でぷつんと切れる。……急にどうした?」

温井水月は鼻で笑う。

「例のやつ、ほんと使えない。警察署にぶち込まれたって聞いたわ。こっちまで吐かれなくてよかった」

山口達夫はせせら笑った。

「ただのチンピラだ。捕まったところで、何も出てこねえよ」

温井水月はそれで、ようやく少し肩の力を抜いた。

――けれど、すぐに清水若菜の顔が脳裏をよぎる。

あの整った顔。

思い出しただけで、腹の底から黒いものが煮え立った。

「腹立つのは……あのクズが、まだのう...

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