第90章 応えられない想い

名取承吾は顔を上げ、清水若菜の姿を認めると、表情にわずかな驚きが走った。

「清水さん……どうしてここに?」

ちょうどそのとき、木村教授もこちらへ歩いてくる。

教授はにこにこと二人を見比べた。

「なんだ、君たち知り合いだったのか」

清水若菜は木村教授の傍へ下がり、小声で説明する。

「名取さんとは何度かお会いしたことがあります。以前、深山村で襲われそうになった時に助けていただいて……命の恩人なんです」

木村教授はうんうんと頷き、言葉に惜しみない賛辞を乗せた。

「承吾は本当に立派な子でね。ここ数年ずっと療養所にも寄付を続けてくれて、助かっている。児童養護施設の支援もしていると聞いた...

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