第97章 彼女の祖父だったのか

清水若菜は木村教授の背を追い、研究室へ足を踏み入れた。

一目でわかった。デスクの向こうに座っているのは、木村教授と同じくらいの年頃の老人――温井教授だ。

白髪混じりの髪。柔らかな目元。いかにも穏やかで、近寄りがたい威圧感など欠片もない。

声をかけられ、温井教授は顔を上げた。

まず木村教授を見て、それから視線がふっと越えて――清水若菜に落ちる。

目が合った、その瞬間。

温井教授は明らかに動きを止め、若菜をじっと見つめた。長い、長い沈黙。

若菜は居心地の悪さに、喉がきゅっと鳴る。

この視線……覚えがある。

深山の村で、初めて木村教授に会った時。彼もまた、今と同じ目で若菜を見てい...

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