第98章 悪因縁

清水若菜は、少し意外に思った。

けれどすぐに察する。先生は――私を試している。

彼女は辞退せず、落ち着いて前へ出た。

まず家族にいくつか確認する。発症した時刻、症状の変化、これまで使用した薬剤。続いて自ら基礎的な診察を一通り行った。

どの手順も、驚くほど丁寧だった。

診察を終えると、若菜は背筋を伸ばし、淡々と告げる。

「瞳孔の対光反射が鈍く、四肢の筋緊張が明らかに亢進しています。不随意の振戦もある。ご家族のお話から見た経過も踏まえると、現時点ではパーキンソン症候群の早期所見が最も疑わしいです」

少し考え、言葉を継いだ。

「ただ、年齢のわりに進行が速い点が気になります。多系統萎...

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