第5章

 グランドホテルの宴会場、その重厚な扉を押し開ける。

「お客様、困ります!」

 ホテルスタッフが声を荒らげ、私の腕を掴もうと手を伸ばしてくる。

 私はその手を乱暴に振り払い、そのまま中へと踏み込んだ。

 眩いほどのシャンデリアの光に包まれたホールには、会社の重役や幹部、そして大口の取引先たちがひしめき合っている。

 メインステージでは、隆二がシャンパンの注がれたグラスを高く掲げ、割れんばかりの拍手を一身に浴びていた。

「本年度、我が社は目標を大幅に上回る業績を達成いたしました」

 隆二はマイク越しに誇らしげに語る。

「私がこうして副社長の座に就くことができたのも、愛する家族の...

ログインして続きを読む