第6章

 私は、二人の大柄な警備員が乱暴に押し歩く勢いを逆手に取り、ガクンと急ブレーキをかけて上半身を思い切り後ろへ仰け反らせた。

 ドンッ。

 私の後頭部が、背後にいた警備員の顎にクリーンヒットした。

 警備員がくぐもった悲鳴を上げ、万力のように私を拘束していた腕の力が一瞬だけ緩む。

 そのほんのわずかな隙さえあれば、私には十分だった。

 強引に片腕を引き抜くと、すぐさまバッグの中に手を突っ込み、分厚い証拠のコピーの束を鷲掴みにする。

「私が狂ってるって?!」

 私は吠えるように叫びながら勢いよく振り返り、呆然とする群衆を真正面から睨みつけた。

 そして、数百枚に及ぶ書類の束を宙に...

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