第7章

 朝九時。中央通りの裁判所。

 修平が、見たこともない車で乗りつけてきた。つや消しの黒、新しいナンバー。志保のレシートが、たぶんまだグローブボックスに入ったままなんだろう。

「これだよ。俺が乗るべきだったのはさ」

 そう言いながら、彼は車を降りた。

 私は返事をしなかった。並んで中へ入る。

 彼は一枚目に署名し、次のページに移ると、さっそく条件の駆け引きを始めた。

「提出するのは俺だし――」一拍。言い慣らした調子で、「マンションは俺がもらう」

 私は顔を上げた。

「頭金を出したのはあなたでしょ。それは記録に残ってる」

「じゃあローンは?」

 彼はにやりと笑った。

「お前...

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