第5章

ダイニングテーブルの鎮座するその中心で、離婚届は白地に黒の文字を浮かび上がらせ、やけに目に痛かった。

凛はリビングに佇み、玄関から鍵が開く音が響くのを耳にする。

ドアを開けて現れた怜真は、仕立ての良いスーツに身を包んでいるものの、ネクタイは緩く首に掛かったままだ。彼はダイニングテーブルを一瞥すると、不快そうに眉根を寄せた。

「またこれか?」

彼は歩み寄り、その書類を無造作に指で弾く。

「凛、いつまでこの茶番を続ける気だ?」

凛は何も答えない。ただ静かに、そこに立ち尽くしていた。

「まだ光のことで拗ねているのか?」

怜真は鼻で笑った。

「前にも言っただろう。俺とあ...

ログインして続きを読む