第6章

直人はサングラスを外し、冷静に応えた。

「警視庁捜査一課の小林直人です。あの夜のことは、正当な潜入捜査でした」

私は完璧に役を演じきり、驚愕の表情で直人を見つめた。

「直人さん? あなたが警察? 何が起きているのか、さっぱり分かりません……」

「五条和也」直人が正式に告げる。「あなたを金融詐欺、資金洗浄、および顧客資金の横領容疑で逮捕します」

「そんなはずはない!」和也の声が裏返った。「真犯人は妻だ! 俺は被害者なんだ!」

他の捜査官たちが家宅捜索を始め、和也の書斎や金庫から書類の束を運び出していく。香織が階下に駆け下りてきたが、その惨状を目にして顔が紙のように青白くなった...

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