第7章

由美視点

玄関に亮が立っている。手には薬局のレシート。廊下の明かりの下で、その白い紙がやけに眩しく見える。私たちは見つめ合う。空気が凍りついた。

「明日の朝」彼の声は穏やかで、危険なほどに穏やかだった。「病院に連れて行く」

「でも、私……」

「おやすみ、由美」彼は私を見ずに背を向けた。彼の部屋のドアがカチリと閉まる。

私はそこに立ち尽くす。指はドアフレームを握りしめている。足が動かない。

夜が永遠に続くようだった。ベッドに横になり、天井を見つめながら夜が明けるのを待つ。六時になる。階下で亮が動く音が聞こえた。

震える手で、シンプルなセーターとジーンズに着替える。鏡を見る...

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