第4章

数歩も走らないうちに、私は藤原圭志のボディガードに背後から病院の真っ白な廊下に押さえつけられた。

「離して!」

もがいたが、その太い腕は私の肩をがっちりと掴み、身動き一つ取れなくさせた。

藤原圭志がスーツをびしっと着こなし、こちらへ歩いてくる。革靴が大理石の床で小気味よい音を立てた。

周囲の医療スタッフはその光景を目にすると、皆うつむいて視線を逸らし、まるで何も起こらなかったかのように振る舞う。

顔を上げると、涙で視界がぼやけたが、それでも藤原圭志の顔に浮かぶ冷酷な表情ははっきりと見えた。

「この間、急に私に優しくなったのは、全部姉さんのドナー適合検査をさせるためだった...

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