第10章

彼女の瞳の奥にきらりと灯る光を見て、立花千時の強張っていた口元もふっとほどけた。眼差しに淡い笑みが滲む。

「ちょうど今回の展示に、カシミールのブルーダイヤが入ってる。行こう、見せてやる」

二人は話が弾み、そのまま並んで展示場の中央――単独ケースへと向かった。

その頃、壁一枚隔てたVIPルームでは。

新谷寒季が本革のソファに腰を下ろし、ブラックコーヒーを手にしている。だが視線はどこか上の空で、落ち着きがなかった。

「寒季、これ可愛い?」

松本凛が鳩の卵ほどのピンクダイヤのリングをはめ、甘えるように手をひらひらさせる。

「さっきスタッフさんがね、店の看板だって言ってたの」

新谷寒...

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