第101章

新谷グループの株価と世間の風当たりに触れた途端、新谷寒季の瞳に浮かんでいた拒絶が、ようやくわずかに揺らいだ。

追い詰められている。いまの彼にとって、どんな小さな悪評も、新谷グループを押し潰す最後の一本になり得た。

新谷寒季は目を閉じ、苛立たしげにこめかみを揉む。脈打つ痛みが、指先にまで伝わってくる。

「……好きにしろ」

歯を食いしばり、吐き捨てるように言った。

「客間に押し込め。俺の目の前に出すな」

黙認を得た松本凛は、その日の午後、山ほどの荷物を引き連れて、東区の最上階ペントハウスへ堂々と乗り込んだ。

暗証番号は変わっていない。リビングの配置も変わっていない。

だが、玄関を...

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