第12章

「寒季ぃ」

松本凛の声は甘ったるく、待ちきれない期待で震えていた。

「ピンクダイヤ、もう買った? 早く着けたいの! それにルビーのネックレスも。合わせるドレス、もう決めてあるんだよ」

新谷寒季は、画面の向こうに映る計算と貪欲で塗り固められた顔を見つめながら、なぜか脳裏に松本彩世の――冷たく澄んだ、汚れのない横顔を浮かべていた。

比べてしまう。

その瞬間、凛の焦りと欲にまみれた様子が、胃の奥をむかつかせた。

「買ってない」

新谷寒季の声は冷たく、温度がなかった。

「……は?」

松本凛は一拍遅れて固まり、笑顔がひきつる。

「買ってない? なんで? 寒季、私にくれるって約束した...

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