第122章

「……あんた、酒に何を入れたの……」

松本凛は舌がもつれ、声が震えた。膨らませていた甘い夢が、巨大な恐怖に一瞬で粉々に砕け散る。

「別に。ちょっと眠りやすくなるものだよ」

新谷寒季はナイフとフォークを置き、真っ白なナプキンを手に取ると、悠然と口元を拭った。

――やられた。

松本凛はそう悟った。

新谷寒季は、心を入れ替えたわけじゃない。

この食事は、最初から最後まで罠だった。

残ったわずかな意識を必死に繋ぎ止め、両手でテーブルの縁を爪が食い込むほど掴む。ふらつきながら立ち上がり、声を絞り出した。

「わ……私、ちょっとお手洗いに……」

逃げなきゃ。ここから出なきゃ。

松本凛...

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