第131章

松本彩世は警備の細部まで指示を出し終えると、迷いなく部屋を飛び出し、エレベーターへ駆けた。

ヒールの音を鳴らしながら、N市の冷えた夜気の中で立花グループの防弾車に乗り込む。

窓の外を流れていくネオンを見つめるたび、胸の奥で心臓が暴れるように跳ねた。

立花千時が目を覚ます。

命を預けてくれたあの男が――ようやく、戻ってくる。

松本彩世が辿り着いたのは、N市中央病院。

深夜のロビーは人影もまばらで、どこか空洞みたいに広かった。

彩世は歩調を速め、カシミヤのコートをきゅっと掻き合わせると、迷わずVIP専用のエレベーターへ向かう。

扉が閉まりかけた、その瞬間。

別のエレベーターから...

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