第137章

「立花千時、ほんっと最低」

松本彩世は歯を食いしばり、怪我をしていない右肩をぽかりと叩いた。

力は大したことない。むしろ軽いくらい。

――なのに。

立花千時が「っ……」と息を呑み、顔色がさっと青ざめた。眉間をきつく寄せ、右手で左肩のガーゼをぎゅっと押さえたまま、苦しそうに身体を丸める。呼吸まで荒くなっていく。

松本彩世の心臓がひゅっと縮んだ。

まさか、今ので……銃創を圧迫した?

「千時? どうしたの? 傷、開いた?」

怒りなんて一瞬で吹き飛ぶ。彩世は布団をめくって身を乗り出し、慌てて肩の様子を確かめようとした。

その瞬間――低く覗き込んだ彩世の視界に、ふいに男の顔が上がる。...

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