第15章

その言葉に、越えてはいけない艶はなかった。あるのは、身内に向けるみたいに重くて確かな約束だけ。

松本彩世はスマホをきゅっと握りしめ、胸の奥に久しぶりのぬくもりが満ちてくるのを感じた。

母が亡くなってからずっと、自分は世界に取り残された孤島みたいだった。新谷寒季の隣に三年いても、こんなふうに地面に足がついた安心は一度もなかった。

「……ありがとうございます、千時さん」

松本彩世は目の縁が熱くなりながらも、真っすぐに礼を言った。

「俺に礼はいらない」

立花千時は視線を前方の交通状況へ戻す。

車は揺れもなく走り続け、しばらくして立花千時がふと思い出したように口を開いた。

「そうだ。...

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