第16章

彼女は、このタイミングで新谷寒季が松本彩世に連絡を取ることを、絶対に許さなかった。

松本凛は目をくるりと回し、音も立てずにベッドから這い出す。裸足のまま新谷寒季の背後へ回り込み、ぴたりと背中へ身体を寄せた。両腕を腰に回し、紅い唇を、彼がスマホを当てている耳元へわざと近づける。

「ん……寒季……」

甘ったるく艶を含ませた息を、わざと喉の奥で転がす。熱い吐息が首筋へふわりと降りかかり、くすぐるようにまとわりついた。さらに、小さな手が落ち着きなく彼の腹筋のラインをなぞり、そのまま下へ――。

静まり返った夜。その艶めかしい喘ぎは電波に乗り、受話器の向こうへはっきり届く。

松本彩世はスマホを...

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