第17章

「松本様、このドレス……本当にお似合いです」

店員は裾を整えながら、こぼれるような羨望を隠せずに息をのむ。

「立花様の気遣い、ここまでとは……。数日前にわざわざお客様のサイズをお送りくださって、工房に徹夜での特急仕立てを指示されたんです。ウエストラインの刺繍まで、職人が手で回しっぱなしで仕上げました。うちも、こんな急ぎの一点ものは初めてで……」

松本彩世はわずかに目を見開いた。すぐに、瞳の奥に小さな驚きが走る。

視線を休憩スペースのソファへ向ける。

そこには立花千時が座っていて、ジュエリーの図録を淡々とめくっていた。声に気づくと、ぱたりと閉じて立ち上がる。

「……ごめんなさい。お...

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