第22章

新谷寒季が、ぴたりと固まった。

反射的に振り返り、その視線が松本彩世の顔に落ちる。

そこでようやく気づく。彩世はソファにもたれたまま、紙みたいに真っ青だった。唇には血の気がなく、こめかみには細かな冷や汗が浮いている。

今にも崩れ落ちそうな脆さ。触れたら砕けてしまいそうな、危うい気配。

胸の奥がぐらりと揺れた。さっきまでの怒りは一瞬で霧散し、鋭い恐怖にすり替わる。

「彩世……どうした?」

慌てて半身をかがめ、頬に触れようとした瞬間、彩世が顔を背けた。

宙に止まった手。新谷寒季の瞳に、後悔と罪悪感が滲む。

「ごめん……俺が悪い。気づかなかった」

彼は焦ったまま扉のほうを振り向き...

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