第23章

周囲の名士たちの媚びた賛辞を浴びるうちに、新谷寒季の瞳に滞っていた陰りは、ようやく薄れていった。

彼は立ち上がり、ごく自然な所作で松本彩世を腕の中へ引き寄せる。親密で、守るような抱き方。

衆目を集め、崇められるこの瞬間がたまらない。なにより、40億のダイヤの指輪が与えてくれる「情の深い夫」という光の輪――それを、彼は存分に味わっていた。

寒季は腕の中の彩世を見下ろし、ありえないほど優しい目を向ける。

「彩世、気に入ったか?」

松本彩世はまつげを伏せ、薬指で眩い光を返すダイヤへ静かに視線を落とした。

美しい。透明で、澄み切っている。

けれど自分の指に嵌められたそれは、重く冷たい枷...

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