第25章

彼は彼女をきつく抱き締め、なりふり構わず――哀れで、薄っぺらくて、どこまでも身勝手な「本心」を吐き出し続けた。

少し離れた場所でその光景を見ていた松本凛は、悔しさに足を踏み鳴らす。

自分が丹念に仕込んだ「か弱さ」と「涙」が、松本彩世の前ではまるで価値を持たない。

さっきまで自分を可哀想がっていた新谷寒季が、次の瞬間には松本彩世のために、自分をただの厄介者みたいに切り捨てるのだ。

奥歯が軋むほど噛み締める。嫉妬で頭がおかしくなりそうなのに――今ここで飛び出して、火種に手を突っ込む勇気はない。

その横で、立花千時が淡々と状況を眺めていた。

新谷寒季の「深情」ぶった顔に、レンズの奥の瞳...

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