第26章

松本彩世は痛みに息を呑み、ひゅっと冷気を吸い込んだ。力が抜け、背中を木の幹に預けたまま――ずるずると滑り落ちて地面に座り込む。冷や汗が一気に背中を濡らした。

少し離れた場所で電話をしていた新谷寒季が、悲鳴を聞いてばっと振り向く。

地面に倒れ、苦しげにうめく松本凛の姿が目に入った瞬間、彼の顔色が変わった。通話をぶつりと切り、なりふり構わず駆けてくる。

木にもたれて震えている彩世には視線すら向けない。そのまま彼女を飛び越えるようにして、凛を腕の中へ抱き上げた。声には隠しきれない動揺が滲んでいる。

「凛、どうした? どこをやった!」

凛は寒季の胸にしがみつき、雨に濡れた花みたいに泣きじゃ...

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